新年度がスタートして早くも1ヶ月が経ちました。子どもたちが新しい環境でも安心して楽しく食事の時間を過ごせるように引き続きサポートしていきたいと思います。体調管理に注意して過ごしましょう。
子どもの嫌いなものってどんなもの?
様々なアンケートや統計から子どもの嫌いな食べ物としてよく挙げられる食材を調べました。よく見られたものは、ゴーヤ・ナス・レバー・セロリ・グリンピース・ピーマン・トマト・アスパラガス・しいたけなどです。どうして嫌いなのかという理由では「苦いから」「匂いが嫌い」「食感が苦手」などの意見が多く見られました。
子どもはもちろん、大人でもこれらの食材が今でも苦手という人は多いのではないでしょうか。また、自分が子どもの頃に食べられなかったものが入っている、ということもあるかもしれません。それではどんなことが「食べられない」に繋がっているのでしょう?味覚の面から考えてみたいと思います。
子どもには苦手な味がある
味覚には基本五味と呼ばれる「甘味」「塩味」「苦味」「酸味」「旨味」があります。しかしこの中で「苦手」「酸味」は子どもに本能的に危険と判断され、避けられてしまう味わいです。特に「苦味」はごく少量でも感知します。
自然界で考えれば熟しておらずまだ食べられない果実は苦く、腐ってしまってもう食べられない食物は酸っぱくなります。そうした人体に害があるかもしれない食べ物を避けるために、まだ知識や経験の少ない子どもは本能で苦いものと酸っぱいものを嫌うのです。
しかし様々な食経験を積むことで「苦手」「酸味」も食べられるものだと学習して、徐々に受け入れられるようになります。つまり子どもの好き嫌いはただの偏食ではなく、今まさに食経験を積んでいる最中なのです。
舌には味覚を感知するための味蕾(みらい)という細胞があります。これは8歳ごろから急激に増え、12歳ごろがピークになると言われています。大人になるとこの数は半減してしまうため、大人と比べると子どもは3倍近くも味覚が鋭いということになります。
好き嫌いが多くなってしまう原因のひとつとして、この「刺激や味を感じやすい」ということも挙げられます。
豊かな味覚を育てるために
人間の味覚は3歳までにほぼ決まり、8歳ごろには確定すると言われています。そのため幼少期に多くの味に触れておくことは味覚を育てるためにとても大切です。
●一緒に食べて言葉で表現する
美味しいか美味しくないかだけでなく「これは苦い味がするね」「ちょっと酸っぱいね」など大人が一緒に食べて味を言葉で表現します。味への理解や興味を深めることができます。
●食べ物に触れることで親近感を持つ
調理に加わる、食事に関する絵本を読む、野菜や果物の絵を描く、買い物に一緒に行き子どもに野菜を選ばせるなど、食べ物に親近感を持てるようにすると良いです。そうすることで嫌いだったものを受け入れられることがあります。
●なぜ嫌いなのか理由を考える
食べられない理由は味だけではありません。見た目が嫌い、食感が嫌い、その食べ物に嫌な思い出があるなど様々な理由が考えられます。なぜ嫌いなのかの原因を知れば、調理方法を変える、味付けを変えるなどの工夫で食べられることもあります。
この子はこれが嫌いだ、と大人が決めつけてしまうのではなく、子どもの味覚はまだ発達途中であると考え、経験や成長によって好き嫌いの多くは改善されていくだろうと長い目で見ることが大切です。食べられなくても見るだけ、触るだけ、匂いを嗅ぐだけでも食体験になります。
深刻に考えすぎずに食べることは楽しいことだと子どもに教えていくことが大事だと考えます。保育園でも食育活動を通じて子どもたちに出来るだけ多くの食経験を積めるように手助けしたいと思います。ご家庭でも食べられるかどうかだけに囚われず、子どもが経験をしたかどうかということに重点を置いていただきたいです。
【食卓のすすめ】
5月の食育活動はすみれ組となでしこ組とすずらん組で「そら豆のさやむき」を予定しています。そら豆のさやは子どもの力でもむきやすく、さやの内側部分や豆は観察すると楽しいです。独特な匂いがあるため子どもには嫌われてしまうこともありますが、自分で見たり触ったりすることで興味を持ち、食体験の一つになれば良いなと思います。そら豆は塩ゆでにして給食の時間に食べます。
そら豆の旬は5〜6月です。全国の生産量では鹿児島県が最も多く、次いで千葉県、茨城県、愛媛県などでも多く生産されています。さやが鮮やかな緑色でツヤがあり、ふっくらとしていて重いものを選ぶと美味しいです。